紀友則の歌

命やは何ぞは露のあだものを

逢ふにしかへば惜しからなくに

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命など、なんだ!命など露の
ようにはかないもの。

また、あなたに逢えるなら命など
惜しくは無い!

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実は「ソムリエール」という漫画に、紀友則の歌が紹介されていた。
話は戦時中で、帝国日本の密命を受けた軍人がパリで出遭った女
性と愛し合ったのだが、アメリカとの開戦と共に別れてしまった。そ
の女性への想いを引きずってのものが、この紀友則の歌だった。

上田秋成の「菊花の約」というのがあり、約束を果たす為に自らの
命を断ち、魂を飛ばして友に会いに行く物語なのだが、命を断って
までの出会いは一瞬だ。その一瞬の刹那は仏教的には美しいのか
もしれないが、合理的では無い。ただし紀友則の歌は、命を断つと
いうものではなく、命をかけて愛する女性に逢いに行くというもの。
愛する女性に逢いたいという切望は、その人物の命になる。逢いた
いからこそ、生きていくのだろう。命をかけるのは、命を粗末にする
という意味では無く、愛する女性に逢いたい為の行為であるという
事なのだろう。つまり、生命の存続である。ただし漫画「ソムリエー
ル」では結局、逢う事は出来無かったようだ…。
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by stavgogin | 2009-11-27 15:14
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