鬼をモノと読んでいた時代は、平安以前だった。よく物部氏との
関連も云われるが、本来”モノ”とは蔑まれる存在であったようだ。 人間に対して”者”を使う場合「愚か者」「好き者」「悪者」 「怠け者」 と、実は者(モノ)という言葉というものは、非常に良くない意味が ある。つまり「馬鹿者!」などと相手を罵倒する言葉は、相手を人 間以下の存在として扱う言葉となる。 となれば小説で「あるところに、某という者がいる。」という場合 と「あるところに、某という人物がいる。」 という表現では、まっ たく違ったものになってしまう。 また例えば道端で人にものを尋ねる場合「そこの者!少々道を 聞きたいのだが…。」という表現は、相手を見下して使うもの。 まあ「そこの者」なんて表現は、童話などで王家の人物などが、 民・百姓に言葉をかけるくらいだが。。。 再び鬼(モノ)に戻るけれど、鬼という怖い存在を何故モノと 呼んだのは言霊の関係もあったようだ。 例えば、暗闇の中に、怖ろしい形相をした鬼がいたとすると、 その情報を他人に対して伝える場合…。 「あそこの暗闇に怖ろしい”モノ”がいる!」 つまり鬼に対して”オニ”と声を出してしまうと、言霊という信仰が あった時代、その鬼そのものをこちらに呼び込んでしま うので、敢えて”オニ”を”モノ”として表現したそうだ。 昔観た映画に「遊星からの物体X」というSFホラー映画があ ったが、英題は「THE THING」で、そのままモノであり、欧米 諸国でも"モノ"に対する恐怖の概念はあったのだろうか?これ は調べてみないとなんとも言えないが。。。 とにかく”モノ”という言葉の存在は、人間が他の存在を見下して いる存在となるか、自分が襲われるのではないか?などと恐怖 を与える存在に対して言う言葉となってしまう。 家などで…例えば息子に「この馬鹿者!」と叫ぶ親父は、息子 を見下しているものの、いつか自分を凌駕してしまう存在に対 して怖れも含む言葉であるので、なんとなく納得してしまうが…(^^;
by stavgogin
| 2009-03-20 21:01
| よもつ文
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