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音トイウモノ。。。


幽霊などの「霊」という漢字の古体は「靈」という漢字で、
「雨」に「□」という器が三つ付いて「巫」という漢字が
組み合わさったもの。つまり本来、雨乞いに関するものか
ら発生したのがわかる。そして雨乞いとして雨という霊を
呼び出す為に、いろいろな事が考案されたのかもしれない。

「琴」という楽器がある。香椎宮で仲哀天皇が琴を奏で、
神功皇后に神が降りた話がある。「こと」は「琴」「事」
「宣」などと、本来は神の御告げの意味がある。縄文後期
に二弦のや四弦の琴が発掘されている事から、琴の歴史も
かなり古い。

そして「琴」は「koto」と言い表すのだが本来は「音」
「oto」から発生した言葉であった。「音」は人の注意
を引きつけるもので、それが神を呼ぶにもなったのだろう。

しかし、もっと古い楽器は縄文時代から延々と続いている
石笛だ。石笛は古神道で神霊を招き寄せるのに使用されて
いる呪具だ。そして石笛の音は、日本の音、メロディーの
原点となる音だ。

「息」とは「生き」でもあるので、人間の生命力が石笛に
「息吹」が吹き込まれ、神を呼ぶ。その音は、かなり甲高
い音となるのは、それが神霊を呼ぶ音として適しているの
かもしれない。

例えば、拍手を打つ場合、手の平に空間を作れば空気が
入り音はこもってしまう。本来の柏での打ち方は、その空間
を作らずにパンッ!という乾いた高い音を作る叩き方なの
だと。やはり神霊を呼び出すには、高い音となるのか…。


ところで、最も古い音を発するものとは、人間の「声」となる。
これを男女にわけてしまうと、男の声は野太い音。そして
女の声は、比較的高い音。

太いといえば、太鼓の音は太く重い。楽器の中で、太鼓の
歴史も古く、弥生時代の遺跡からは太鼓を打つ男の埴輪も
出土しているが、石笛よりは比較的新しい。

万葉集には、柿本人麻呂の長歌の挽歌があり、戦闘の描写
として、下記の歌がある…。


「斎ふる 鼓の音は 雷の 声と聞くまで 吹き鳴せる… 」

戦国時代における戦闘にも陣太鼓は使用された事から、な
んとなくだか、男性的な太い音というものは戦闘意識を鼓
舞するもので、逆に女性的な甲高い音は、神霊を呼ぶとい
う使い分けがあったのかもしれない。

例えば、夜の巷に「キャ~!」という女性の甲高い叫び声
が聞こえると何事だ!と人々は、その叫び声の女性の下へ
と集まってしまう。半分スケベ根性も入ってはいるが…。

しかし「ワァ~!」という男の野太い叫び声が夜の巷に響
くと、逆に何か争い事では?と警戒して避けてしまうよう
な気がするのだが。。。

つまり…なんとなくだが、音を考えてみると、卑弥呼から
始まった?と思われる巫女という存在は、その声という「音」
から、神を呼ぶのに適している為、その女性の声に近い高い
音を出す石笛が、今でも使われているのかもしれない。と
いうか、石笛の奏でる音とは、女性の声そのものなのかも。。。

アップした動画は、深夜の山奥で実験的に石笛の音を鳴らし
てみたのだが…全体の雰囲気が怪しくなるだけではなく、確
かに何かが寄って来たような気配を感じてしまった。是非と
も皆様…試しにやってみてくだされ(^^;
by stavgogin | 2009-06-18 15:58 | よもつ文
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